指宿選手が本格的に「パワプロ」の対戦に挑戦したのは2016年。大会の開催告知を見て「これは優勝してしまう」と意気込むほどに自信満々でオンライン対戦に挑みましたが、程なくして「自分の操作では通用しない」と、トッププレーヤーとの間に壁を感じました。

代名詞「つまみ持ち」の難しさと可能性

そこで指宿選手が取り組んだのが、ある配信者が紹介していたという「つまみ持ち」。コントローラーの左スティックを親指と人差し指の2本で操作する方法で、定番とされる親指1本での操作に比べて精密さに重きを置いたこの操作方法に「大会までの1ヵ月、どうせ今のままでダメならつまみ持ちに懸けてみよう」と転向を決意しました。

結局、目標としていた大会では大きな手応えを掴むことは出来なかったものの、粘り強く練習を続けた指宿選手。すると「3ヵ月くらいで、それまで勝てなかった人に勝てたり、いつの間にか壁を越えたような感覚がありました」と成果を実感できるように。今では指宿選手を真似て「つまみ持ち」に挑戦するプレーヤーも増えるほど、すっかり代名詞とも言える操作方法になりました。

本人も「自分が考えた訳じゃないので」とあくまで先駆者へのリスペクトは欠かさず、「親指だけでの操作じゃなくても良いんだよ、っていうのは示せたかなと思います」と、その手ごたえを感じている様子。それでも「相性は絶対にあるので、押し付けたくはないです。やってみて、合いそうだったら取り組んでみて欲しい」と、どこか自身の苦労を振り返るように話しました。

ゲームにシンクロする独自の感覚

ゲームに入り込むかのような驚異の集中力

そんな指宿選手が感じる「パワプロ」対戦の面白さを聞いたところ、「作戦を立ててプレーして、良い結果に繋がった瞬間が気持ち良いですね」と、野球経験者らしい答えが。

特にピッチングの調子が抜群に良いタイミングでは、画面上で投手を操作しながらも「(ゲーム内の)捕手の目線になっているように感じるんです。ランナーをチラっと見て、カウントとシフトを確認してミットを構えるようなイメージですね」と、一種の「ゾーン」に入るのだとか。「これが本当に楽しくて、見逃し三振を取ったらスッとボールを投げ返してベンチに帰るところまでイメージしています」と、笑いながらその感覚を表現してくれました。

感覚面に加えて指宿選手が最も大事にしているポイントが、「常に頭の中を整理してプレーすること」であり、自宅でもゲームをプレーしながら反省点や気づきをデータとしてまとめているそう。「安定感がないのが悔しくて、(負け越しに終わった)eBASEBALL プロリーグの2018年シーズンの後から意識してやり始めました」と、その理由を語ります。

思えば2019シーズンの「eBASEBALL プロリーグ」 でも、自身の技術面については「本当に不調というか、降下傾向にある」と話していた指宿選手。それでも彼を支えたのは抜群の勝負強さであり、なかにはホームランの1安打だけで勝利した試合も。本番に向けた取り組みが、リーグ唯一の6戦全勝という大きな成果に繋がりました。

キャプテンとライバルと目標と

チームメイトのホームランにガッツポーズを見せる指宿選手

指宿選手は「eBASEBALL プロリーグ」 では2季連続でバファローズのキャプテンを務めました。初年度は「本当にしんどかったし、(重責で)二度とやらないと思った」と、その役割の重たさに苦しみましたが、チームメイトの助けもあり2年目もチームの先頭に立つ大役を完遂。

「今はもう一回やってくれと言われたら全然できます。自分からどうしてもやりたいとは言わないですけど」

どこか吹っ切れた清々しさを感じる指宿選手にライバルと思う存在を聞くと、即座に大川泰広選手(※)の名前が挙がりました。「実力的にも、キャプテンシーでも本当に参考にさせてもらってます」と、2年連続で代表するチームをリーグ優勝に導いた実績には対抗心よりも尊敬の念が前に出るほど。

※2018シーズンは埼玉西武ライオンズ、2019シーズンは東京ヤクルトスワローズ代表

昔は大川選手とのオンライン対戦にはかなり苦手にしていたそうですが、今では毎回接戦となる実力伯仲のライバル関係。公の場ではまだ対決がなく、実現の機会が待たれます。

最後に今後の目標を聞くと、「eBASEBALL プロリーグは『ゲームに詳しくなくても楽しめる』という点で大きな可能性を持っていると思います」と前置きし、「eBASEBALL プロリーグがもっともっと沢山の人に観てもらえるよう、大きくなっていくお手伝いをしたいです」と、プロプレーヤーとしての自覚溢れる言葉が。そして「あと、バファローズファンも増やしたいです!増やします!」とすかさず付け加えました。

叶うべき夢の先へ。「野球愛」と「ゲーム愛」、2本の力強い指が、これからも指宿選手のプレーを支えます。