神戸市、NTT西日本兵庫支店、株式会社PACkageは「withコロナ時代におけるeスポーツによる地域課題解決に向けた連携協定」を結んだ、と発表しました。eスポーツを通じた新たなコミュニケーションやビジネスの可能性を探り、地域の課題解決や産業振興につなげるという「全国初」のプロジェクトをスタートさせます。

プロジェクトの概要(神戸市提供)

このプロジェクトがめざす取り組みは4点です。

(1)eスポーツへの理解促進、今後の可能性を考えるwebセミナーを開催
(2)高齢者や子ども向けのeスポーツを活用した実証事業
(3)eスポーツコミュニティーの醸成・関連イベントとの連携
(4)eスポーツの魅力や可能性を伝える動画による発信

こうしたeスポーツをめぐる実証事業は今までに例がないと説明しています。

幅広い世代のコミュニケーションツールに

(1)eスポーツへの理解促進、今後の可能性を考えるwebセミナーを開催

webセミナーは今年秋の開催を予定しています。世代を問わず幅広くeスポーツを楽しむことで、家族やコミュニティー間でのコミュニケーションツールになるかどうか。産業やエンターテインメント構造が変わることで、eスポーツに関連するスタートアップ企業との連携や誘致・支援につながるかどうか。こうしたテーマを議論をします。

(2)高齢者や子ども向けのeスポーツを活用した実証事業

eスポーツは若者のイメージがありますが、「高齢者とeスポーツ」の可能性を探ります。新型コロナウイルスの感染拡大もあり、高齢者は家族と会う機会や地域での活動の機会が減っています。高齢者の健康や地域の連携に悪影響が出る懸念があります。

そこで、ICT技術を活用し、高齢者同士あるいはその家族がeスポーツを一緒に体験できる環境を提供します。eスポーツがITリテラシーの向上や健康増進といった課題解決につながる可能性を探ります。

(3)eスポーツコミュニティーの醸成・関連イベントとの連携

プロジェクトに参加するPACkagはeスポーツチームの運営などを手がけています。同社のネットワークを生かし、神戸市内の関連企業やプレーヤー、学校関係者をつなぎ、大学対抗戦や関連イベントと連携した相互PRに取り組みます。

(4)eスポーツの魅力や可能性を伝える動画による発信

eスポーツ関係者へのインタビュー動画を通じて、eスポーツの魅力や可能性を発信していきます。

介護にゲームを活用、健康相談も

eスポーツを通じたコミュニケーション促進のイメージ(神戸市提供)

実証事業では、ICT技術とeスポーツを掛け合わせて可能性を探ります。NTTはICT技術、神戸市は市内の高齢者サービス事業者、PACkageはeスポーツというそれぞれが持つ強みを生かします。2021年度までの2年間をかけて取り組みます。

今年度、「慣れる」として、高齢者施設において介護レクリエーションとしてeスポーツを導入します。まずは囲碁や将棋ゲームから始め、「ぷよぷよ」の導入も検討しています。さらに「楽しむ」として、eスポーツを通じた家族と高齢者施設、あるいは高齢者施設同士のオンラインコミュニケーションを図っていきます。これらの実証事業では、参加する高齢者の体温や心拍数、睡眠データ、ゲーム操作ログを記録します。

そして21年度に得られたデータを生かします。「活用する」として、職員やケアマネジャーと施設の入居者との間でオンラインによる健康相談を実施します。

神戸からeスポーツ文化の底上げを

プロジェクトを発表した記者会見(神戸市提供)

プロジェクトでは、「スモールスタート」として実証事業を進めながら、その課題やニーズの把握をめざします。「eスポーツが社会的、経済的合理性を持つのか、その最適解を探る」としています。

17日にeスポーツイベント施設「eSPORTSアリーナ三宮」(神戸市)で行われた記者会見で、市の担当者は「一過性の実験にはしたくない。eスポーツにはプロリーグもあるが、市民レベルで高齢者が楽しんでもらいたい。神戸からeスポーツ文化の底上げをしたい」。プロチーム「野良連合」の選手だったPACkage代表取締役の山口勇さんは、この取り組みについて「高校生や大学生など、10代、20代にアプローチをして、地元プレーヤーとのつながりを作っていきたい」と話しました。