「Call of Duty Challengers日本代表決定戦 Summer」の決勝大会が19日にあります。PlayStation®4 「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア」(CoD:MW)の頂点を目指し、プロアマ問わず150近くのチームが参戦した本大会の優勝候補筆頭にして、CoDの競技シーンで国内最強とされるチームが「Libalent Vertex」(以下、LV)です。

日本国内の公式大会で優勝し続けること8連覇。チーム名の通り「Vertex=頂点」に君臨するLVの強さを支えるもの、そして彼らが目指す更なる高みとはーー。

前人未到の9連覇に挑むLVのチームリーダーを務めるsitimentyo選手と、前回大会でMVPに輝いたInaba UR選手は「世界一になりたい」と口をそろえて語ります。

「大会がいつ開かれるか分からない」は練習を止める理由にならない

「CoD」の国内競技シーンでは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月に大阪で予定されていた「日本代表決定戦 Spring」の決勝大会が延期に。開催時期が一時期未定のまま、選手たちは宙ぶらりんの状態となりました。

ようやく5月になって決勝大会はオンライン形式で実施され、その後「Summer」のオンライン予選が始まるなど徐々に活気を取り戻しつつあります。ただ、中には選手活動の休止を決断したチームも。

しかし、LVはあくまで普段通りの活動を続けていました。sitimentyo選手は「以前よりも練習相手を探すことに苦労しました。その影響もあり練習日数そのものは減ったかも知れませんが、特に活動は変えていません」と話します。

Inaba UR選手も「コミュニケーションだけ取って解散する日もありましたが、そんな日でも腕が鈍らないようにボット撃ちを続けて、プレーの感覚だけは維持するようにしていました」とあくまで大きな変化はなかったと語ります。

「自分には『世界一になりたい』という目標があります。たとえ今シーズンは海外大会に参加することが難しくても来シーズンがありますし、練習が決して無駄になることはないので、全くモチベーションは落ちませんでした」(sitimentyo)

「プロとして活動している以上、いざ大会が再開された時のために準備を続けていました。他のメンバーにも迷惑はかけられません」(Inaba UR)

どのような状況下でも、個人として、チームとしてのモチベーションを自然と維持できる。「世界一」という高い志と、それを支えるストイックなマインドこそが、LVを最強たらしめる理由のひとつなのでしょう。

彼らの言葉を裏付けるように競技シーン再開後の「Spring」決勝大会、そして「Summer」オンライン予選は盤石の戦いぶりを見せつけ連戦連勝でした。今回の決勝大会に向けてInaba UR選手は「本番でパフォーマンスが向上したり、独特の戦略を採用したりと姿を変えるチームもあります。だから、常に全チームがライバルだと思ってやっています」と油断はありません。

最強を裏付ける練習量とフィードバック

「コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦」から、国内の公式大会では無敗という最高の結果を収め続けてきたLV。「全勝」という言葉はプレッシャーにも繋がりかねないように思えますが、両選手はあくまで冷静に自分たちの強さを見つめています。

「どのチームよりも多く練習していると思いますし、『正しい練習』に取り組めている自信もあります。誰よりも努力しているから勝てる。そんな気持ちでいつも大会に臨んでいます」(sitimentyo)

「シーズンが変わり、ゲームの仕様が変わってから最初の大会では『今シーズンの自分は大丈夫かな』と不安になることもあります。でもチームメイトが強いのは間違いないので、自信を持って思い切ったプレーができています」(Inaba UR)

LVが特に圧巻の戦いぶりを見せてきたルールが「SEARCH & DESTROY」。一度倒された選手はそのラウンド中にリスポーンしないため逆転が難しく、連携が非常に重要になるルールです。強さの秘訣について、sitimentyo選手はこう捉えています。

「ありとあらゆるケースを想定した練習を行い、必ずメンバーで話し合いをしています。正しい練習と試合前後の細かい話し合いは常に意識しているので、試合よりも話し合いの時間の方が長いこともあります」(sitimentyo)

何度も「正しい練習」というフレーズが口をついたsitimentyo選手

sitimentyo選手による徹底したマネジメントには、Inaba UR選手も「sitimentyoが戦術を組み立てたり、反省点を挙げてくれたりするので、個々人の能力の高さがより生かされていると思います」と全幅の信頼を寄せています。

とはいえ時には上手くいかないこともあるようです。Inaba UR選手が「基本的にはフォローを意識していますが、意見が割れてしまうこともあります」と漏らすと、stimentyo選手も今大会で見せた単騎での裏取りについて「最善かなと思って味方がフォローに入ることを信じて動いたんですが、誰も居ませんでした」と、それぞれ裏話を笑いながら明かしてくれました。

チームメンバーの印象は?

選手の入れ替わりが激しい競技シーンで、大きなメンバー変更なく経験を重ねてきたLV。お互いの印象やチームメンバーについても聞きました。

リーダーとしてゲーム外でも表に立つ役割が多いsitimentyo選手ですが、本人は「自分ではその役は苦でもないし、他に出来そうなメンバーも居ない(笑)。チームのメンバーにはプレーに集中してほしい」と、リーダーならではの負担はあまり気にならない様子。

これにはInaba UR選手も「リーダーならsitimentyoしかないなと思います。私生活は全然そんな感じじゃないですが」と絶妙なパワーバランスが見え隠れするコメントを被せます。

試合では前線で起点になりつつ、時に派手な連続キルを決めて大会ベストプレーやMVPの常連となっているInaba UR選手は「連続キルを狙っているわけではないんです。ひとり倒せたらそれ以降は『出来るだけ削りたい』くらいの気持ち。そこに、キルがついてくる感覚です」と謙遜。

しかしsitimentyo選手は「日本でも個人能力はトップだと思います。彼が前線を突破できない可能性も踏まえて戦術を組み立てるのですが、ほぼ突破してくれますね。逆に突破しなかった場合の練習ができないと悩むくらいです」と、その突破力に厚い信頼を寄せています。

Inaba UR選手は凄まじい練習量をこなす習慣で知られており、チーム内でもずば抜けてボット撃ちに時間を割いているそうで、あまりの長時間プレーに機材が不調をきたしたこともあるとか。本人は「自分の使い方が悪いんです」と笑いますが、その練習量がLVの前線を支えていることは疑いようもありません。

チーム内でもずば抜けた練習量のInaba UR選手

他のメンバーについても、GenGar AX選手は「頼もしい突破力」と「本番での勝負強さ」、今季から加入したLeisia選手は「積極的で開拓力がある」「声出しが頼もしい」と、両者から見たアピールポイントがスラスラ。xAxSy選手については、ふたりとも「完璧な選手」と口を揃えました。

体感した「世界との差」を埋めるために

LVは昨シーズン、日本代表として世界大会にも出場。世界の並みいる強豪チームが相手となると、国内で圧倒的な内容を誇る王者でも苦戦を強いられる展開が続きましたが、試合を重ねるごとに日本で培った技術が発揮され、互角以上の撃ち合いを披露する場面も見られました。

特に「SEARCH & DESTROY」については「見たことない戦術だ」と驚かれることもあったとか。日本独自のやり方が通用する面があったことも確かですが、最高戦績は「トップ32」止まりでした。

日本で最強を誇るチームが実際に肌で感じた「世界との差」とは何だったのでしょうか?

「根本的に、日本とはまるで戦術が違いますね。チーム数も練習量も桁違いで、物凄く研究が進んでいると感じました。自分たちの戦術も想定内のものとして対応されてしまうくらいです」(sitimentyo)

「海外のプレーヤーは止まることを知らないのか、というくらい突き進んでいきます。もちろん盤面を管理する目的であまり接敵しないプレーヤーはいますが、自分たちの接敵数と比べると20~30回と大きな差がつくこともあります」(Inaba UR)

今でも日々の練習は、それぞれが感じている世界との差を埋めるため。再戦の日に備えて海外競技シーンの映像をチェックするなど、研究も欠かしません。

前線を担うInaba UR選手は「アグレッシブな相手の足を引っ張れるように、少しでも粘って戦線を維持して、倒された場合にも味方のフォローを受けやすいようなプレーを意識するようになりました」と、変化が生じています。

国内では最強として君臨しているだけに、世界で味わった悔しさは忘れがたいものがあるのか、この質問に答える口調が少し熱を帯びたことからLVが抱く「世界」への想いの強さを感じられました。

ファンの声援を背に、更なる戦果と国内競技シーンの発展を

「CoD」はFPSの中でも国内ユーザーが多い人気タイトルで、今後もプレーヤー数や競技シーンのファン数の伸びが期待されています。トッププレーヤーたちは「CoD」競技シーンの魅力をどのように捉えているのでしょうか。

「個人能力の高さが輝くことが魅力だと思います。難しい要素は抜きにして、単純な技術の高さを見て『この人、上手いな』と感じてほしいですね。eスポーツルール自体は誰でも簡単にプレー出来るので、是非フレンドを集めて一度やってみてほしいです」(Inaba UR)

「そして戦術面に興味が出てきたら、マップを見てみて欲しいです。最初は『何でこんな位置にいるの?』と思うかもしれませんが、選手の意図が分かるようになってくると面白さが増します。つまり、まずはInaba URのプレーを楽しんで、慣れてきたら自分のポジショニングに注目してもらいたいですね」(sitimentyo)

本インタビューはリモートでの実施となりましたが、取材中もチームワークは健在

最後にファンへのメッセージと今後の意気込みを聞きました。

「国内最強に留まらず、世界でも良い順位に食い込めるよう頑張っていきます。LVはファンの皆さんの応援で成り立っている部分が多く、現地での声援は凄く力になるので(オンライン開催となった)今回は少し残念です。画面越しに応援をよろしくお願いします」(Inaba UR)

「ファンの皆さんのおかげでチームとして続けてこれましたし、モチベーションも高く保てています。いつも応援ありがとうございます。今後も大会で勝ち続けて、世界で成績を残すことを目指して戦います」(sitimentyo)

通常、大会となれば会場に詰め掛けたファンから大きな声援を浴びるLVですが、今大会もオンライン上での開催とあって無観客での実施に。またファンの前で試合ができる日を両選手とも待ちわびていました。

「いずれは世界の舞台でファンの声援を浴びながらの試合を?」との質問には二人とも「そうなったら、最高ですね」とニヤリ。いつか来るであろうその日のためにも、国内最強の看板は譲れません。

Call of Duty Challengers⽇本代表決定戦 概要

開催日時:7月19日(日)10:00~
配信:YouTubeTwitch、Periscope(「コール オブ デューティ」eスポーツ公式Twitterアカウントより配信)