新型コロナウイルスの影響によってレースが延期になって以降、大きな盛り上がりを見せているフォーミュラ1(F1)のeスポーツ大会。現役ドライバーも参戦した「F1 eスポーツ・バーチャル・グランプリ」は先日、ひとまずの最終戦となる「カナダGP」が終了し、一段落しました。

そこでは、現実のF1レースとは異なる、ある点が開催中に大きな話題を呼びました。それはレース展開がリアルと比べてもアグレッシブかつ非常に過激だったことです。

リアルレースとの「違い」がドライビングに影響

現実のF1において、接触や妨害行為はドライバーに危険が及ぶ可能性があるため、アグレッシブ過ぎるドライビングにはスチュワード(競技委員長)からペナルティーが出る場合もあります。また、マシン損傷のリスクもあることから、ドライバー側も極端なドライビングは避けるのが通例。

しかし「F1 2019」を使用して開催された「Virtual Grand Prix」では、事情が異なりました。

マシンが接触で受けるダメージがゲーム内で低減されている上、各チームのマシン性能が均一に設定されていました(リアルでは格差はかなり大きい)。さらに事故を起こしてもケガをしないというバーチャルレースの特性も相まって、ドライバーたちが通常のレースではありえないアグレッシブなドライビングを見せたのです。

eスポーツらしさが出た「バーチャルモナコGP」

特に過激化の影響が見られたのは、5月下旬に行われたバーチャルのモナコGPです。リアルでは、その名の通りモナコ公国で開催される市街地レース。長い伝統とともに肥大化した現代のF1マシンでは、追い抜きが困難であることで知られています。

現実では極端な順位の変動はあまり起こらず、予選で1位を獲得したドライバーが決勝でそのまま勝ち切ることも少なくありません。

「Virtual Grand Prix」モナコGP

ですが、バーチャルレースではマシンが2台並ぶのもやっとな狭いセクションでも、バチバチのバトルが続出。半ばねじ込む形で相手を抜いていくシーンも多く見られ、最後まで予測不可能なレースが繰り広げられたのです。結果、序盤の混乱を切り抜け、独走に成功したウィリアムズのラッセル選手が優勝となりました。

現実のレースとはかけ離れたeスポーツレースについては、F1ファンは賛否両論に分かれて議論の的になっています。バーチャルモナコGPを観戦していた筆者としては、「eスポーツらしさ」を訴求するためにも、ある程度アグレッシブなレースを許容しても良いと感じられました。

さらに意見を述べるならば、現在のレース系eスポーツ大会は、「グランツーリスモSPORT」などリアル寄りのタイトルが多いですが、もっとアーケード的な作品の採用が増えれば、リアルレースの「代わり」以上のブームを作れるのではないかと思います。

注目の公認大会は2つ

3月、マクラーレンに所属するランド・ノリス選手がF1eスポーツへの参戦をいち早く表明し、大きな注目を集めました。彼の決断が、多くのドライバーの参戦を後押ししたと評しても、過言ではありません。

勢いづくF1eスポーツシーンには、現役ドライバーも参加する大会が2種類存在します。

ひとつは、新型コロナウイルスの影響によってオーストラリア開幕戦が中止になった後、eスポーツチームVeloce Esportsが企画し、その後F1からも公認を受けた「Not The GP… Series」。もう一方は、F1が公式に開催する「Virtual Grand Prix」です。

各シリーズは、YouTubeのF1公式チャンネルVeloce Esportsチャンネルでアーカイブが視聴可能。一部のドライバーがTwtichなどで行っていたライブ配信も、それぞれのチャンネルからアーカイブを視聴できます。

「Not The GP… Series」ベルギーGP

両大会には様々な違いがあり(周回数、参加ドライバー、ダメージ設定など)本稿ですべてを説明するのは難しいですが、「Not The GP… Series」では、いくつかの大会で一周限りのスプリントレースが行われるなど、「Virtual Grand Prix」と比べてユニークな試みも行っているので、ぜひチェックしてみてください。