数少ない女性プロゲーマーとして活躍するUYU|ゆうゆう選手ですが、彼女がプロとして活動していくきっかけになったのが「獣道」です。カリスマプロゲーマーのウメハラ選手が主催する対戦企画「獣道」は、有名プレーヤーたちの真剣勝負が見られるエキシビションマッチとして、格闘ゲームコミュニティーから高い評判を得ています。

第2弾である「獣道弐」でたぬかな選手との女性プレーヤー対決を制したゆうゆう選手。「獣道弐」まで、結婚と出産を経てゲームから離れていましたが、プロとして競技シーンに舞い戻った経緯や心境を聞きました。

軽い気持ちで参戦した「獣道」

ーーどういう経緯で「獣道弐」に参戦することになったのでしょうか?

「獣道弐」のお話を頂いたとき、私は出産も経てゲームから離れていたんです。ちょうどいい区切りだったし、自分としてはもうゲームはやめたものだと思っていました。

ほぼプレーしていなかったのですが、突然連絡がきたんです。ずっと前にLINEを交換していたキャスターのハメコ。さんから「出てみない?」と、軽い感じでオファーを頂きました。

当時の私は「獣道」自体知らず、「鉄拳」プロシーンにも疎い状態でした。ただ対戦相手がたぬかな選手で、向こうは既に出る気でいると聞いて「これは断ったら負けだ」と思ったんです。

ーーたぬかな選手とはライバル関係にあるのですか?

私はそこまで意識していないですが、たぬかな選手は昔から私を意識してくれているようです。使用キャラが同じシャオユウということもあり、ゲーセン時代は私の地元まで遠征しに来ることもありました。

たぬかな選手が私を倒す気でいると聞いて「そんなに強くなってるならやってみよう」と思いました。少し上から目線ですが(笑)。

ーー参戦が決まってからはどういう準備をされたのですか?

12月にオファーが来て、3月10日が本番だったので、練習期間は2ヶ月強しか無かったんです。ただ、相手のキャラクターは決まっているようなものなので、ひたすらシャオユウ対策を練習しました。

強いシャオユウプレーヤーに練習相手をお願いして、家事を終えた午後10時ごろから、明け方の3時ごろまで、毎晩練習していました。また、たぬかな選手の対戦動画も見て、技振りの癖を研究していました。

ーー対戦当日はどのような感触でしたが?

まず会場に行って「たくさん人がいるじゃん」と驚きました。練習段階ではこれほど大きな規模のイベントに出場する自覚はなかったので。

試合は本当に接戦でした。たぬかな選手はゲーセン時代より強くなっていて、私は「鉄拳7」自体に慣れていなかったので、ミスが目立ちました。「レイジアーツ」「レイジドライブ」といった新システムも、たぬかな選手の方が断然上手く使えていました。

10-9のスコアで勝った時は「危なかった」と思いましたね。同時に、私を応援してくれている人の多さに感動しました。久しぶりの舞台でこんなに応援してもらえるなんて想像していなかったので、とても嬉しかったです。

「誰にでもできる仕事じゃない」プロゲーマーの道を選んだ理由

インタビューに答えるゆうゆう選手

ーー対戦後はどういう反響がありましたか?

「MASTER CUP2」で優勝した時と違い、お祝いのコメントを沢山いただきました。

「もっと試合が見たいです」「やめないでください」といった声も多く、まだ私の居場所があるんだな、と思わせてくれました。コメントが励みになってプロゲーマーの道を進むことを決めました。

実は「獣道弐」の直後に、今自分が所属しているアメリカのプロゲーミングチーム「UYU」から声がかかったんです。オーナーが試合をリアルタイムで見てくれていたようで、熱烈なオファーでした。

当時の心境としては「プロって本当に強い人だけがなれるんじゃないの?」と戸惑っていました。しかしオーナーから「強さは関係ないから、とにかくうちのチームに入ってくれ」と言われたんです。

ゲーム環境向上のために関東へ引っ越す費用を負担してくれたり、さすがアメリカのチームだな、といった印象でした。

ーーその時ご家族はどのような反応でしたか?

もちろん最初は「またやるの?」と言われました。しかしプロゲーマーは誰でもなれるわけではないし、なにより職業として成立するので「やってみたい」と思ったんです。

自分は意志を固めるとそれを曲げないタイプで、家族もそれを分かっています。なので「もう反対しても無駄だ」と諦めてくれました(笑)。

ーープロになってからの活動は大変でしたか?

1年目は7回ほど海外遠征をしたのですが、とても辛かったです。遠征先ではピザやハンバーガーなど脂っこい料理が多く、慣れないうちは戻してしまうことも多かったんです。今は日本からパウチの食べ物を持っていくようにしています。

また、遠征が息子のイベントと重なると決断が難しいですね。行事の重要性にもよりますが、なるべく両方に時間を割くようにしています。

ーー息子さんはゆうゆう選手のプロ活動をどう見ているのでしょう?

保育園に入ってから発表会などに出る機会も増えてきて、それでやっとプロゲーマーの凄さを分かってくれるようになりました。

私のお父さんはYouTubeで私の大会動画をよく見てくれているんですが、最近は息子も一緒になって見ています。海外の大会で戦っている私の姿を見て「後ろにいっぱい人がいる!発表会よりもすごい!」と言ってくれています(笑)。

こういった家族の支えがあってこそのプロゲーマー活動なので、本当に感謝しています。辛いときもありましたが、今はプロゲーマーになって良かったと思っています。