ランクマはつらみであふれている

近年の家庭用格ゲーで楽しいのは、やはりランクマッチ(以下、ランクマ)だよね。見知らぬ無数の戦士たちと技を競い合い、能力を磨き上げ、ポイントを稼ぎ、高みを目指していく……。成長とともに自分のランクが上がっていくのは楽しい。素直に快感だ。

とはいえこのランクマッチとかいうシステム、遊んでるみんなは先刻承知だろうがストレスの元でもある。勝てばポイントがもらえてランクが上がるが、負ければ減点されてランクが下がる。これが「勝ったらうれしい。負けたら悔しい」という対戦ゲームの大前提に「負けるとめちゃめちゃ損して腹立つ」というエッセンスが加わり、負けたときの精神的ダメージが数倍に跳ね上がってしまうんだよな。

「どれ、記事用にいっちょランクマしてます的スクリーンショットを撮ってくるか」ってプレーしたら、早速2連敗してハンカチ噛んだ。違う!!!! マッチングした相手が偶然強すぎただけだから!!!

勝ったときですら「やった~! 勝った~!」という気持ちよりも「いや~、ポイントが減点されなくて良かった~助かった~」って感じの、うれしいというより凌いだって類いの感情が産まれてしまいがちだ。なんなら負けたときに「クソ! 私より強いヤツに当たって運が悪かったぜ……」って思っちゃうことよくあるもんな。

「自らの強さにふさわしいランクを得る、より高みを目指すために強くなる」という流れが順当なはずなのに、いつの間にか頭の中では「ランクは上がるのが当然、上げられないと腹立つ」という感情の動きが形成されていってしまうんだよな。これは徳が低いよな~。あんまりゲームを遊ぶ精神状態として健全じゃない気がするぜ。

この負のランクマスパイラルに打ち勝つには、発想の転換が必要だ。ランクマのために格ゲーをしてはいけない! ランクマとは別に格ゲーを楽しみ倒せる「本番」が必要だ。

それはなんだ? 大会か? NO。eスポーツにアツくなりたいというその前向きさは素敵だが、その「意識の高さ」は脆さにもなりうる……。もっとだ! もっと意識を低くするんだ! 水は低きに流れると言うなら流れようじゃないか! 流れて足元に溜まってけ! 私達は「浅瀬」じゃないか。浅瀬には浅瀬らしい格ゲーのやり方ってモンがある。

プレマは浅瀬勢の「ファイト・クラブ」だ

ランクマを家格ゲーの「本番」から降格させる一番確実な方法……それは「身内で開くプレイヤーマッチ(以下、プレマ)」にほかならない。身内プレマを成立させるコツは「実力が近いもの同士で固まること」だ。格ゲーを始めたばっかりの初級者とSSランクの激うま太郎が同居したプレマは……まあアドバイスの場としてはうまく機能するかもしれないが、「浅瀬の居場所」としては好ましくない。

我々には「切磋琢磨する場」は不要。思う存分ケンカできる場所「ファイト・クラブ」、そして「知らねえ奴らはともかく、こいつだけは負かしたい」と思える、信頼できるクソッタレどもが必要なのだ! こいつらとは実力が釣り合っていないといけない。尊敬や謙遜、場合によってはひがみを産むからなッ! 我々に必要なのは闘争心だけだッ! 気持ちよく殴れて、気持ちよく殴ってきてくれる。そんな好敵手を探すんだッッ!

存分に殴り合える仲間たちでデジタル三密と化した我がプレマファイト・クラブ部屋。負け抜けで全員倒して一周したら強制交代というルールで戦っている。一周したものは「周回者」として讃えられるか「勝ちたがりクソ野郎」として罵倒される。この小さなお山の大将感がたまらん

好敵手は一人でも見つかればいい。だが、できれば4~8人くらいいるとバラエティー豊かなケンカを楽しめる。また、このケンカ仲間たちは実力が拮抗しているだけでなく、お互い軽口が叩けるような仲だとなお良い。
私もよくつるんで格ゲーやってる連中と「今のは“違う”(実力で負けたんじゃないの意味)から」「その技はズル」「○○(相手の使用キャラ)は勝ちたがりすぎて騎士道精神がなってない」など、あることないことを言ってじゃれ合っている。
こういう、気兼ねなくお互い叩き潰し合える関係がいちばんケンカしやすい。こんな環境が生まれたら、バラ色の格ゲーライフはもうゴール間近と言っていいだろう。

プレマが本番、ランクマは練習場

こんなプレマが出来上がると、君の目の前に広がる格ゲーの世界は色を変えてくる。君にとっての本番は「勝手知ったるクソ野郎たちとのプレマでのケンカ」に変わった。これまで本番と勘違いし、苦汁を舐めてきたランクマが「来たるべきプレマのための練習の場」へと変貌したのだ。

いくらランクマで負けようと、ランクが下がろうと知ったことではない。プレマでいつもケンカしてるあいつらに勝てればそれでいいのだ。むしろ格上と当たってコンボや立ち回りのネタをパクれれば上々。プレマで宿敵をわからん殺しできる確率が上がるのだから。
よしんば勝ってしまってランクが上がればさらに良い。プレマでもランクは表示される。プレマが開催されてない間にこっそりランクマでランクを上げておけば、対戦会が始まった際に「こいつ……“仕上げて”きてやがるッ!」と圧力を加えられる。試合前に圧を与えられれば、君の勝利はより盤石になること間違いなしだ。
格闘ゲームは常在戦場。試合をしてないときでも戦いは続いているんだッッッ!

ほぼBランクで占められるプレマ内での「圧」を高めるため、なんとか必死に頑張ってAランクに上げてから臨んだ例。「あいつ、“やって”る!」と思わせることができる

あとアレだよな。戦ってる相手がある程度固定されてると「人読み」とかできてくるのも楽しいよな。キャラクターごとのセオリーじゃなくて「こいつ、いつもこの連携ガードされると中段出すんだよな~」とかそういうヤツ。キマるとめちゃめちゃ気持ちいい。やっぱプレマって最高だな~。

そういうわけで、格ゲーはランクマに必死になるのもいいけど意識低い連中同士で吹きだまりっぽいたまり場を作ってワイワイやるのも楽しいよ、と今回は言ってみました。
「いやそんな仲間を探すほうがランクマやるより難しいんだが!?」って人もいるだろうけど、まあそれはそれです。がんばれ。コミュニケーションのトレモしてろ。それじゃあな。