相次ぐ大会中止、遠ざかった着地点

「Call of Duty: Modern Warfare(CoD:MW)」では今季、国際オープントーナメント大会「Call of Duty Challengers」の開催が予定されており、それに伴い国内でも春と夏に公式大会「Call of Duty Challengers日本代表決定戦」も開かれることになっていました。

しかし2月下旬に「Call of Duty Challengers日本代表決定戦 Spring」のオフライン決勝大会の中止が発表され、当面のあいだ国内で公式大会・オフライン大会が開かれる可能性が閉ざされました。さらに追い打ちをかけるように、3月には国際大会の中止も発表されました。
(オフライン決勝大会はその後、オンラインで実施され、5月10日に配信)

「『Call of Duty Challengers』が中止を余儀なくされ、国際大会に行くための第一の橋である国内大会もなくなりました。モチベーションが下がったというよりも、モチベーションを向ける先がなくなってしまった感覚でした」(GreedZz)

1月、「CDL Challengers ミネソタ大会」でのGreedZzさん

「不安要素ばかりで、中止が発表された時期は『どうしよう』という気持ちが大きかったと思います」(Vebra)

アメリカなどのようにチーム数が多く、頻繁にオンライン大会が開催されている地域であれば、新たな目標も見つけやすいかもしれません。しかし日本のCoDプロシーンでは大会の数が少なく、その結果ひとつの大会にかける時間と労力が大きいのが現状です。「大会」というひとつの着地点が遠ざかった影響は計り知れません。

選手活動は一時休止、配信に切り替え

チームの活動拠点である「Rush ベース」での活動風景

「そもそも昨シーズンよりも国内での公式大会の数が減っている中、大会がいつ行われるかもわからない状態になってしまったので、今まで通り選手活動に打ち込み続けることが難しくなりました」(Vebra)

そこでRush GamingのCoD部門は、チームとして交流戦や練習などの選手活動を休止することを決めます。

3月中旬、あまりにも素早い決断。特にGreedZzさんは、チームを運営する株式会社Rush Gamingの共同創業者でもあります。選手の視点と経営者の視点、両方を鑑みての決断だったそうです。

「選手陣はみんな理解していましたね。2月頃から新型コロナ関連の話題が増えて不穏な空気は感じていましたし、当時の僕らは1月末に開催されたミネソタでのオープン大会をひとつの区切りとしていました。

企業としてもやはり利益を出さなければ食べていけないですし、同時に社会的な価値を高める必要もある中で、選手活動だけに時間を割くわけにはいきません。チームの運営側にも立つハセシンと代表の西谷とも話し合いましたが、『今の状況なら仕方ない』と自然に決断を下せました」(GreedZz)

Rush Gamingは「CoD:MW」シーズン中は正規ロスターでの選手活動を休止し、発信活動へと切り替えることを発表しました。

新たに見えてきたものとは

昨年12月、「【ZONe presents】eSports大学生最強決定戦 CoD mobile決勝大会」で解説として出演するVebraさん

しかしネガティブな影響ばかりではありません。Rush Gamingとしての選手活動から距離を置くことで、新たに見えてきたものもあるとGreedZzさんは言います。

「チーム結成時から配信活動には力を入れてきたので、急に自粛期間が始まるというよりも、配信に集中する期間が生まれたような感じです。これを機に、みんな配信の幅を広げることができています」

「Vebraくんはeスポーツの解説動画を作成して、eスポーツシーンになじみがない人でもルールや見方を理解して観戦できるような啓蒙活動を行っていますし、3月に『Call of Duty: Warzone』がリリースされたことで、さらに多くのCoDプレーヤーに配信を見てもらえるようになりました。練習を休止する代わりに、配信活動を通してCoD全体の盛り上がりに貢献できることもあるのでは、と考えています」(GreedZz)

Vebraさんによる死んだら即配信終了の「ベブゾーン」。企画開始時は同時接続100名ほどだったが、今では多い時は1000名を超える人気配信に

他にも、コミュニティー大会に解説や実況者として出演するなど、今だからこそできることに各選手が取り組み始めています。

もちろん、チームとしては選手活動から離れたものの、メンバー個人単位での選手活動は自由。他チームのプレーヤーと練習を行い、一時的なチームでオンライントーナメントに参加することにも積極的だと言います。

「選手活動を休止したことがきっかけで、落ち着いて自分を客観視する時間が生まれました。毎日練習だけをしていると、どうしても視野が狭くなってしまうことがあるんですが、一度力を抜くことで頭の整理ができて。休止後、オンライントーナメントに出た際に、今までとは違う感覚でプレーできたのを実感しましたね」(Vebra)

ポジティブにとらえ、前を向いてスタート

昨年12月、「Call of Duty Challengers⽇本代表決定戦 プレシーズンマッチ」でのVebraさん

また、各個人のキャリア面にも、ポジティブな影響が出ています。今後の活動を考える時間にもなったようで、GreedZzさん、Nicochanさんは選手活動の休止を発表。今シーズンはコンテンツクリエーターなど、選手以外の道を歩むことを決めました。

トッププロの競技シーンに大きな影響が出ている現状ですが、早くもRush Gamingは前を向いて再スタートを切ろうとしています。

1月、「CDL Challengers ミネソタ大会」でのGreedZzさん