2020年1月12日、「Shadowverse」のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」では第14節の試合が行われ、約3ヶ月に渡って8つのプロチームがしのぎを削った。
総バトル数246に及ぶ密度の高いシーズンとなった中、ベストバトル賞に選出されたのは、まさに最終局面である第14節に行われたRumoi選手対NISE選手の試合だ。
ちょうど筆者が解説を担当したバトルだが、新カードパック実装から間もないにもかかわらず高いレベルで繰り広げられた駆け引きには、いち観戦者として魅了された。今回は改めてこのベストバトルを振り返り、あの時語りきれなかった「プロの技」を見ていきたい。

不利マッチのなか早期に見出した勝利プラン

第14節、1-0で先行するAXIZを追う形の福岡ソフトバンクホークスゲーミングからNISE選手が、リードを広げたいAXIZからRumoi選手が、それぞれ第2試合に出場した。

NISE選手はコントロールエルフ、Rumoi選手は妖怪ネクロマンサーというデッキ選択。コントロールエルフは第15弾カードパック「アルティメットコロシアム」の配信開始から約2週間という短い時間の中、強力なデッキとして瞬く間に流行した妖怪ネクロマンサーを打ち倒すべく編み出されたデッキだ。

【疾走】フォロワーを軸に毎ターン体力を削る妖怪ネクロマンサーに対して豊富な回復・盤面除去手段が用意されており、長期戦でじりじりと優位を奪っていく作りになっている。

対策デッキを当てられてしまった苦境の中、Rumoi選手はまだ序盤と言える4ターン目の段階で勝利への道筋を立てていた。手札に《禁絶の腕・ニコラ》と3枚の《プリンゴースト・ミヤコ》が揃ったことで、これらが生み出すトークンカードを組み合わせて1ターンで20点の体力を削りきる方針だ。

コントロールエルフが有利に動けるのはあくまで継続して体力を詰めてくる動きに対してであって、1ターンで体力を根こそぎ奪いさる動きにはあまり対応できない。

この時点で勝ち筋を見据えたRumoi選手は必要なカードがそろっていたため、ドローがあふれてしまうことも許容したうえでプレイを進めていく。

このタイミングで勝ち筋を組み立てていたとRumoi選手は振り返る
このタイミングで勝ち筋を組み立てていたとRumoi選手は振り返る

一歩も譲らない駆け引きの連続

特にレベルの高い攻防が繰り広げられたのは7ターン目以降だった。

NISE選手の盤面が弱いタイミングで、すかさずRumoi選手が攻勢に出る。前のターンに温存していたカードも含め、盤面にフォロワーを一斉展開。元のプランへの影響を最小に抑えつつも、相手の除去や回復が少しでも不足すれば、そのまま早期決着を目指す構えだ。

コントロールエルフが苦手とする体力5以上のフォロワー+ダメージ無効効果を持ったフォロワーによる猛プッシュ
コントロールエルフが苦手とする体力5以上のフォロワー+ダメージ無効効果を持ったフォロワーによる猛プッシュ

これに対して、NISE選手は2ターンをかけて全面除去と大幅な体力回復をこなしてみせた。しかも除去の切り札である《アリアの旋風》を温存し、あえて自分の盤面を弱くすることで妖怪ネクロマンサーの切り札《大妖狐・ギンセツ》が十分に力を発揮できないようケアも怠らない。

渾身の盤面をNISE選手に鮮やかに返され、驚きをあらわにするRumoi選手
渾身の盤面をNISE選手に鮮やかに返され、驚きをあらわにするRumoi選手

その後もRumoi選手がフォロワーを展開してプレッシャーをかけ、NISE選手がさばく展開が続くが、途中からNISE選手はあえて自分のフォロワーを回収・破壊することで、自分の盤面にフォロワーを残さないプレイを徹底した。

これは前述した《大妖狐・ギンセツ》への対策であると同時に、相手の場にフォロワーがいなければ使えない《プリンにしてやるの》を警戒してのことだ。Rumoi選手が描いていた勝利プランはこの《プリンにしてやるの》なくして成り立たず、NISE選手も自身の負け筋を正確に読んでいたからこそのプレイだ。

こうした複雑な駆け引きに終止符が打たれたのは12ターン目のことだった。Rumoi選手の盤面を一掃したNISE選手だが、90秒という時間制限との戦いの中で、自分の盤面にフォロワーが1体だけ残ってしまう手順をとってしまう。

Rumoi選手はこのわずかな隙を見逃さず、4ターン目から思い描いてきた20点ダメージを8ターン越しに達成。綱渡りの攻防を制した。

ロングゲームの最後は電光石火の決着。最大値だったNISE選手の体力は1ターンで削り切られた。
ロングゲームの最後は電光石火の決着。最大値だったNISE選手の体力は1ターンで削り切られた。

両プレイヤーが勝利を求めて質の高いプレイを重ねあった結果、まだ多くのプレイヤーが模索を続ける時期に、最高難度と言われるコントロールエルフの扱い方、そしてコントロールエルフに不利と言われる妖怪ネクロマンサーでの戦い方が視聴者たちにも伝わるところとなったこの勝負には、まさしくプロのプロたるゆえんを見たと言っても過言ではない。

ベストバトルへの選出も納得の一戦だった。

今回は「今期のアツかったシーン」として1つの試合にフォーカスしたが、選手のパフォーマンスやチームの戦略など、プロリーグにはまだまだ沢山の見どころがある。もちろん、試合としても今回の一戦に引けを取らない名勝負が数多く生まれている。是非、来シーズン以降のプロリーグも楽しみに見ていただきたい。