新型コロナウイルスの流行を受け、eスポーツ界でも数多くの大会やイベントで中止・延期の措置が取られています。この影響はパズルゲーム「ぷよぷよ」においても同様で、3月11日に予定されていたチャンピオンシップ、4月11日のランキングプロ選抜大会SEASON2、同18~19日のファイナルズSEASON2の計三つの公式大会について、現時点で「当面の間延期」と発表されています。

シーズン制を採用している「ぷよぷよ」の競技シーンにおいて、延期となった3、4月は2019年にスタートしたSEASON2の最終盤となる時期であり、特に4月に宮崎県で実施予定となっていた「ぷよぷよファイナルズ」は、文字通り最後の大舞台。総決算を目前に、思わぬ中断期間を挟む形となりました。

「国体」を経て更に拡大したSEASON2

パズルゲームならではの手軽かつ奥深い駆け引きが魅力である「ぷよぷよ」の競技シーンは2018年、日本eスポーツ連合(JeSU)認定のプロライセンス制度を導入する形でSEASON1の幕が開きました。

11名のプロによってスタートしたSEASON1ですが、公認大会での上位入賞者にはプロライセンス保持の権利が付与される仕組みとなっており、1年を通して新たなプロ選手が次々と誕生。
昨年4月に実施されたSEASON1の「ぷよぷよファイナルズ」を制し、記念すべき初年度の王者となったdelta選手も2018年末にプロライセンスを獲得しています。

そして迎えた2019年から2020年へとまたがるSEASON2。
2年目となりプロシーンが浸透し始めたことに加え、「ぷよぷよeスポーツ」が国民体育大会での文化プログラムとして競技に採用され、「プロ」と「国体」という大きな2つの目標に向けて、全国の「ぷよらー」と呼ばれるプレイヤーたちの情熱は大きく加速しました。

SEASON2でプロライセンスを獲得した顔ぶれも、奈良県代表として「国体」に出場したやなせ選手、同じく福井県代表のタイタン選手など、関東圏以外を拠点に活動する選手が増加しています。

※初報段階で、福井県代表のタイタン選手のお名前を、千葉県代表のレイン選手と誤って掲載してしまいました。関係の方々には申し訳ございませんでした。お詫びして訂正いたします。

ライセンス獲得は決して簡単な条件ではないにもかかわらず、これだけコンスタントに新たなプロが誕生しているというのも、アマチュアぷよ界が大いに盛り上がり、そして全体的にレベルアップしていることの証拠と言えるのではないでしょうか。

2月のぷよぷよカップ東京大会決勝。対戦前にコメントするマッキー選手(中央)とdelta選手(右)
2月のぷよぷよカップ東京大会決勝。対戦前にコメントするマッキー選手(中央)とdelta選手(右)

「マッキー対delta」の構図に割って入るのは

そんな実力伯仲のプロシーンにおいても、やはり飛びぬけた存在として認知されているプレーヤーがふたり存在します。
前年度チャンピオンのdelta選手と、2019年の「国体」優勝を果たしたマッキー選手です。

両名ともプレイヤーの間では言わずと知れた実力者ですが、特にSEASON2の公式大会において高い勝率を誇っており、ハイレベルなプロを相手にしてもその安定感は抜群。
短期決戦も苦にせず、常に大会上位に名を連ねます。

今季は公式大会で2度、決勝にて「マッキー対delta」の直接対決が実現。
1度目の直接対決となった「ぷよぷよチャンピオンシップ」2019年12月大会ではマッキー選手が鮮やかに2セット連取で優勝を決めましたが、2020年2月東京大会の決勝ではdelta選手が自慢の大火力を存分に発揮し、リベンジに成功しています。

勝ち越しを懸けた3度目の直接対決にも注目が集まりますが、このツートップに割って入る選手が誰なのかというのも実に興味深いポイント。
ベテラン勢が意地を見せ、新世代のマッキー選手、若手世代のdelta選手との世代間代表戦となる構図にも期待したいところです。

勝敗のカギを握るのは、幅広い状況への適応力

元来、「ぷよぷよ」のコミュニティ内では「数十本先取」という長期戦がスタンダードとされてきましたが、公式大会では2本で1セットの2セット先取制。
最短4ゲームで勝敗を決する超短期決戦で安定して勝ち続けることは非常に難しく、さらには戦術面のトレンドも日々変化していきます。

昨シーズン、くまちょむ選手が序盤から一気に攻め立てる「超速攻」戦術で快進撃を果たしたことは記憶に新しいですが、並み居る猛者にほぼ何もさせず優勝を成し遂げた光景の衝撃度は大きく、ここから少し潮目が変わったように思われます。

現状、どのプレイヤーも「安定感と攻撃力を持ちながら、速攻にも耐え得る」という、あまりに高度な理想と向き合い、自分のプレイスタイルとのすり合わせを迫られています。
中には連鎖の心臓とも言える「土台」について見直しを図る選手も少なくありません。

プロシーンも2年目に突入し、公式大会以外にも活動の場が増えたことで、トップ層に求められる能力は多様化の一途を辿っています。
昨季のファイナルズでは普段より少し試合数が増えた10本先取制で実施されましたが、このルールが勝敗を分けることになるかも知れません。

2月のぷよぷよカップ東京大会の売店で売られていた、プロ選手たちを応援するためのうちわ。今や、これだけの人数に増えている
2月のぷよぷよカップ東京大会の売店で売られていた、プロ選手たちを応援するためのうちわ。今や、これだけの人数に増えている

盤面を逆転する「対応手」に期待

「ぷよぷよ」は、わずか数秒の間に自陣と相手陣を把握し攻守を切り替える、異次元とも言える判断力が問われる競技です。

SEASON2の総決算を目前に大会延期という思わぬ事態が降りかかって来ましたが、これによって生まれた数か月の猶予時間さえも、恐らくプロプレイヤーたちにとっては自身のプレーを見直し、対策すべき相手の研究を進める「判断時間」として充分すぎるくらいでしょう。

プロシーンの開幕から、早2年。「ぷよぷよ」界は今なお大きな流れの最中にあり、多くのプレーヤーとファンによって支えられています。

彼らの情熱に応える意味でも、事態が収束した暁には現在延期となった全ての公式大会が無事に開催され、この苦しい状況に見事に「対応」する鮮やかな熱戦が行われることを切に願います。