目まぐるしく発展するeスポーツの世界ですが、女性プレーヤーの存在はまだ多いとは言えません。
トッププレーヤーの多くを男性が占めるなか、ゆうゆう選手は格闘ゲーム「鉄拳7」にてプロゲーマーとして活躍しています。孤独な環境でどのようにゲームに熱中し、プロの道を切り拓いたのか。
ゆうゆう選手がプロになるまでの道のりをうかがいました。

ゲームセンターの異様な雰囲気に魅力を感じた

ーーゲームとの初めての出会いはいつでしたか?

小学1年生の時に交通事故にあって、大掛かりな手術の後、3か月ほど入院していたんです。
うちは父子家庭だったんですが、入院中の私が退屈しないように父が持ってきてくれたのがゲームボーイでした。それがゲームとの出会いです。
その時やっていたのが「ヨッシーのクッキー」というパズルゲームで、3か月やっていくうちに徐々にパズルが上手くなっていく感覚が楽しかったのを覚えています。

ーーでは、格闘ゲームを始めたキッカケは何でしたか?

高校生のころに「マジカルドロップ」というパズルゲームが目当てで初めてゲームセンターに入ったんです。
するとその筐体の真後ろに「鉄拳」が置いてあったので、待ち時間にプレーしてみたのが格闘ゲームに初めて触れた瞬間でした。

ーーゲームセンターにはお一人で?

そうですね。学校の子は皆ショッピングモールに行っていたのですが、そこはどうにも居心地が悪くて。
最初は興味本位で入ったんですが、いつしか学校に着替えを持って行って、放課後に着替えてゲームセンターへ行くようになっていました。

ーー当時のゲームセンターはどんな雰囲気でしたか?

私の行っていたゲームセンターは、1階に音楽ゲームが置いてあって、奥の階段を昇って2階へ行くとパズルゲームや格闘ゲームが置いてありました。
そこへ上がると、色んな人が対戦したりそれを後ろで見ていたり……その非日常的な雰囲気がとても魅力的でした。
ただ私以外に女性はいなくて、他の人たちからは珍しがられていましたね。

インタビューに応じるゆうゆう選手(撮影・福田栄美子)
インタビューに応じるゆうゆう選手(撮影・福田栄美子)

ーー「鉄拳」はプレーを始めた時から強かったのでしょうか?

いえ、最初は全く勝てなくて、100円払ってプレーしているのにどうして負けているのかも分からない状態でした。
それを父に相談したところ、「ちゃんとやりたいなら家で練習すれば」と言ってプレイステーションとアーケードコントローラーを買ってきてくれたんです。

それからは上手くなるまでゲームセンターに行かないと決めて、半年以上家で練習していました。
分厚いムック本を片手にひたすら技を覚えたり、手にコマンドを馴染ませたり……今から比べるとアナログな練習でした。

ーーとても研究熱心ですね。

私は昔から習い事をやれば長く続くタイプでした。
ピアノやソフトボールも真剣にやっていて、父もそういう一面を知ってくれていたから家に練習環境を作ってくれたんだと思います。

ある程度自分で上手くなったと思ってからまたゲームセンターに戻ったんですが、ゲームセンターの人たちはレベルが違いました。
今のオンライン対戦と違い、ゲームセンターでは自分より確実に格上のプレーヤーとも対戦しなければいけません。
上手くなったと思って臨んだのに全く勝てないままで、そこからは負けながら少しづつ上手くなっていきました。

それでも、負け試合の中に自分が上達している実感がありました。
負けながらも相手の技振りを分析したり、攻めと守りの緩急を付けてみたり、自然と頭で考えながら対戦するようになっていました。

女性ゲーマーとして、様々な苦悩があった

ーープレーヤーとして有名になったのはいつ頃でしたか?

自分が第1回から今でも毎年出場し続けている「MASTERCUP」という大会があります。その第2回大会の時、上手いプレーヤーたちに声をかけていただいて、一緒にチームを組んで出場しました。
その大会で私たちが準優勝を果たし「あのチーム、女がいる」と有名になりました。

正直いうと準優勝できたのはチームメイトのおかげでした。
自分の実力ではないのに有名になってしまい、違和感を抱いていました。
女性であることで周りから心無いことを言われることも多く、ネット上に掲示板がたっていたり、中には直接ネガティブなことを言ったりしてくる人もいました。
つらい時期でしたが、なるべく気にしないようにして「鉄拳」を続けていました。

ーーゲームから離れていた時期もあったのですか?

妊娠がきっかけで物理的にゲームができなくなってしまったんです。
妊娠中はゲーム画面を見るだけで辛かったですし、ゲームセンターも喫煙する方が多いので行けませんでした。
ゲーム仲間には話していなかったので、皆からしたら「気づいたらいないな」という感覚だったと思います。

私は当時流行っていた「鉄拳タッグトーナメント2」をとてもやり込み、大会でも強いプレーヤーにも何度か勝てたので、ゲームをやめる前までは実力にも少し自信がありました。
「弱くなって戻ってきた」と思われるのは嫌だし、出産してからだらだらゲームをするのは違うなと思い、ゲームはやめるつもりでいました。

たぬかな選手。「獣道弐」ではゆうゆう選手と対戦した(撮影・志田彩香)
たぬかな選手。「獣道弐」ではゆうゆう選手と対戦した(撮影・志田彩香)

しかし少し経ってから、とある方から連絡がきて「獣道弐」に出ないかと言われたんです。
当時私はプロシーンに疎く「獣道」というイベントの存在も知らなかったんですが、たぬかなちゃんが相手だと知って「断ったら負けだな」と思って出場を決めました。
このイベントがきっかけで知名度も上がり、スポンサーのお話などもいただけるようになったんです。