悪質だと刑務所に入る可能性も

お話をうかがったのは、「白根会計&コンサルティング事務所」の白根寿晴所長と平賀泰三さんです。
こちらの事務所では、「『プロゲーマー』と『ストリーマー』の確定申告マニュアル 2020」や「eスポーツの税金 Q&A」といった内容についてnoteにまとめていますので、そちらも参考にお読みください。

ゲーム配信をしていて盲点となりやすいのは、「たまたまやったゲーム動画配信がバズりすぎて、もうかっちゃった」といった人などのケース。
大まかに言うと、経費を除いて年38万円以上のお金が入ったら「確定申告」をしなくてはいけない、と考えた方が良いでしょう(いわゆるチーム所属のプロゲーマーのように、ゲームに関してお給料としてお金を得た人は年103万円以上)。

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して書類を提出し、3月15日までに管轄の税務署に提出し、所得税を払う、もしくは、払いすぎていた分を返してもらう手続きのこと。
2020年はコロナウイルスの問題のため、期限が4月16日までに延長されており、それ以降であっても柔軟に対応してもらえます。

「よく分からないし、面倒くさいし、まぁ、大丈夫でしょ。見つからないでしょ」と考えるのが一番ダメなこと。
最近は、税務署にとって、様々なお金の支払いや受け取りに関するデータがたどりやすくなっているそうです。
1年目の収入、2年目の収入はたいしたことがなくても、3年目で「あれ、結構な額になっているぞ」となった時に税務署の人がやってきて……ということは十分にあり得るとか。

申告していない、もしくは税金を少なく申告している場合には、本来支払うべき税金に加えて、延滞税(年2.6%または年8.9%)、加算税(不足税額の5%~20%)、重加算税(不足税額の35%~40%)を支払う可能性もあり、いわゆる「脱税」行為がとても悪質な場合には、「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはその両方」という刑事罰を受けることもあるそうです。

なお、期限までに間に合わないからと言って、諦めるのもよくありません。
確かに、期限を過ぎると「罰金」的なお金は発生するのですが、その額は期限を過ぎた日数によりますし、遅れてでも自分から申告したケースと、税務署から言われて申告したケースとでは、悪質性も違ってきます。
お金は支払った側と受け取った側とがありますが、支払った側のデータを把握していれば、税務署は突き合わせることができるので、お金の流れはまず確実に押さえられている、と考えた方が良さそうです。

説明する白根寿晴所長
説明する白根寿晴所長

「未成年だから関係ない」とはならない

また、特に注意しなければならないのが、未成年や大学生などで親の扶養に入っているケース。
確定申告をするくらいに所得がある人は、扶養から外れることになります。

eスポーツ界では「高校生プロ」なども誕生していて、大会に優勝して100万円などの高額賞金を受け取ることがあります。
親が、子どものプロ選手としての活動を知っていて、理解しているのであれば問題はなさそうですが、怖いのはゲーム配信活動。
どのくらい稼いでいるのか、親が分からないこともあるでしょう。

お子さんが、扶養の範囲を超えて所得があるにも関わらず、扶養から外さないで年末調整をしていると、税金を少なく払っていることにもなります。
このような場合、税務署から親の会社に「お子さんが扶養から外れていますよ」と連絡があるから、そこで初めて自分の子どもがそんなに稼いでいることを知り、「事前に言ってくれれば問題ないことを、なんで言わなかったんだ」と、親子間で一悶着あることもあり得ます。
そこで感情の行き違いがあって、せっかくeスポーツの世界で子どもが頑張ろうと思っていることに対し、親から応援してもらえなくなったり、もしくは、活動を制限されたりするのは、悲しいことですよね。

経費の考え方

ゲーム関連での「経費」はどのように認められるのでしょうか。
ゲーム配信活動に使っているパソコンも、半分はプライベートで使っている。ゲームソフトもキーボードもお金を出して買っているし……というケースもあるでしょう。

平日は本業があるので、土日だけゲーム配信をしている、というケースだと、7分の2は経費、と考える根拠になるとも言えるでしょう。
ざっくりと言うと、それが、ゲーム関連で収入を稼ぐために使った費用か、ということになるようです。
ひとまず、領収書は全て保管しておいて、いざとなったら税務署なり、税理士などの専門家なりに相談する、という形が良さそうです。

説明する平賀泰三さん
説明する平賀泰三さん

なぜ会計事務所がeスポーツ?

そもそもなぜ会計事務所がeスポーツに力を入れているのでしょう?

ツイッターやnoteでの発信を担当している平賀さんは「単純に私がゲームが好きだから、というのがシンプルな理由なのですが、プロゲーマーやストリーマー、eスポーツ関連のスタートアップ企業に対し、サポートしている会計事務所があまりないので、少しでも力になれたらということが発端です」と話します。

1979年生まれのファミコン第1世代で、家ではスーパーファミコン、プレイステーションで遊び、ゲームセンターにも通いました。
「お昼代として500円もらったら、100円でパンを買い、残りをゲームに使っていました」と話します。
最近は仕事も家庭もあり、なかなかプレーできていませんが、Apex Legendsの配信動画を見るのが好きだそうです。

ツイッターで税金関連の情報を発信すると、主にFPS/TPS系のゲーマーさんからの反応が多いそうです。
有名選手の中には、所属事務所が税金面をチェックしてくれるケースもあるでしょうが、時折、有名芸能人の方が税金を正しく払っていない、ということがニュースになることがあるように、人気商売になると、仮に悪意がなかったとしても、「あの人は脱税したんだ」という誤ったイメージがつき、それがゲーマー全体に対しての悪いイメージにつながる可能性もあります。

ゲーム好きの身として、そうした部分をサポートできれば、というのが平賀さんのモチベーションになっているそうです。
白根会計&コンサルティング事務所では今後も、ツイッターやnoteで税金に関する発信を続けていくほか、ゲーマーたちのセカンドキャリアを支援できるような活動もできれば、と考えているそうです。

今回は入門編として、大枠を示す記事となりましたが、予想以上に大きな収入を得てしまって不安を感じられている方、現金ではない形で高価な報酬を受け取って対処の仕方が分からない方などは、お近くの専門家や税務署に相談されてみてはいかがでしょうか。