2020年3月に入ってから新型コロナウイルスの影響がeスポーツ界隈でも見られ始めました。
「リーグ・オブ・レジェンド」(LoL)のプロリーグ「LJL」や、「Shadowverse」のイベント「RAGE Shadowverse 2020 Spring GRAND FINALS」など、オフラインでの観戦が可能なイベントが軒並み無観客試合となりました。
他にもFAV gamingによるイベント「FAV Cup」が無観客試合に、ウェルプレイドによるeスポーツ関連施設「REDEE」(大阪)のこけら落としイベント「ウェルプレイドフェス」も延期となっています。

eスポーツは、ようやく観戦イベントとして確立されつつある状況で、有料チケットによって収益を得ることができるのは、まだまだ一部の人気大会のみとなっています。
したがって、音楽ライブやプロスポーツと比べると、無観客による開催もしくは延期や中止による打撃は大きくありません。
それでも大会運営、選手などに影響は出ています。

他にも大きなところでは、「ストリートファイターV Champion Edition」の世界ツアーである「カプコンプロツアー」も前期の中止が決まっています。
後期についても情勢の見極めによっては、中止や縮小は余儀なくされそうです。
ともすれば最終決戦であるカプコンカップ自体の開催も危ぶまれます。
また、同タイトルの大会である「Intel World Open」も、オンライン予選の開催が延期されています。

「LoL」の国際イベント「2020 Mid-Season Invitational(MSI)」も、5月開催から7月開催へ延期が決定しています。
ただ、開催地がまだ確定しておらず、詳細な日程も出ていないので、7月の開催も微妙なところだと言えます。
また、秋に開催される世界選手権である「World Championship(Worlds)」の開催地は上海を予定していましたが、これも変更されると噂されています。

オフラインでのイベントが開催しにくくなってしまった現状ですが、ゲームであるがゆえ、オンラインでのイベントへの切り替えや、動画配信での対応などができています。
この点は、他のイベントにはない優位性ではないでしょうか。

一方、スポーツ界では、試合を延期もしくは中止している間の対策としてゲームで代用する案も出ています。
モータースポーツでは、MotoGPやインディカーで活躍する現役プロレーサーがゲームによるバーチャルレースを行っています。
プロ野球は、開幕を4月24日に延期することを発表。その後、その日程すら難しいという見解を出した中、日本野球機構(NPB)とKONAMIにより「実況パワフルプロ野球」を使用した「プロ野球“バーチャル”開幕戦2020」を開催しました。
そして米プロバスケットボールNBAは、プロ選手によるNBAを題材としたゲーム大会の開催を発表。日本人選手であるウィザーズの八村塁選手も出場する予定です。

したがって、ゲームを使ったイベントの本家であるeスポーツがこのまま手をこまねいているわけにもいかず、さまざまな対応策を見せています。

V-RAGEの様子。巨大化したミルクボーイがeスポーツ漫才を披露
V-RAGEの様子。巨大化したミルクボーイがeスポーツ漫才を披露

バーチャルイベントも

先に紹介した「RAGE Shadowverse 2020 Spring GRAND FINALS」では、PCとスマートフォン、VRデバイスで利用できるバーチャルSNS「Cluster」を利用し、バーチャルイベントの「V-RAGE」を開催。
バーチャル空間にイベント会場を設置し、大型ディスプレイで試合を視聴することで、会場での観戦の疑似体験をできるようになっています。
単純に試合を動画配信で視聴するよりも臨場感があり、新たなイベント観戦の形を提案しています。

しばらくはオフライン大会を開催できる状況にはないと思いますので、オンライン大会への切り替えや新たなオンライン大会の開催を期待したいところです。
そのためには、オンライン大会開催の際の許諾のハードルを、IPホルダーが下げる必要があると感じます。
すでにいくつかのタイトルでは、プロゲーマーが主催となるイベントが散見されています。
ファンとしては大会への参加、動画配信の視聴をすることでeスポーツやプロ選手を支えていきたいところです。

ときど対ウメハラ戦の持つ意味

今回は、新型コロナウイルスの影響についての雑感となりましたが、最後に3月に開催されたイベントの取材について述べたいと思います。
3月でもっとも印象に残ったのは、「TOPANGA CHAMPIONSHIP」の最終戦、ときど選手対ウメハラ選手の一戦です。
もともと配信ベースで、観客を入れて行う大会ではありませんでしたが、取材をさせていただけました。

ときど選手とウメハラ選手は、古くから対戦を繰り返したライバルであり、2年前の「獣道 弐」にて、このふたりによる10先(10本先取)の戦いが繰り広げられました。
「獣道 弐」ではウメハラ選手が圧勝し、悔し涙を流したときど選手でしたが、今回は7連勝でウメハラ選手に雪辱を果たします。
試合後はときど選手がそのまま突っ伏してしまうほどで、この対戦に大きな意味があったことがわかりました。

ウメハラ選手に勝利し、その場で突っ伏すときど選手
ウメハラ選手に勝利し、その場で突っ伏すときど選手

eスポーツはここ2~3年のムーブメントとして扱われがちですが、10年以上の歴史を刻んできたふたりには、そんな軽いものでは済まされない歴史があります。
それだからこそ、日本でeスポーツシーンを牽引(けんいん)することができているのでしょう。
彼らが現役で活躍できる時代にeスポーツを観られることを幸せに感じた一日でした。