ゲームの「プロ」は技術職

人生を捧げるほど熱中したオンラインロールプレイングゲームを筆頭に、アクションゲーム、シューティングゲーム、音ゲーまで幅広いゲームに触れる古川さん。

中には「Overwatch」「Apex Legends」や、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(PUBG)などのeスポーツタイトルも。

しかし、これだけ膨大なゲーム経験値を持つ古川さんだからこそ、ゲームで勝つことの難しさが痛いほどわかると言います。

「『PUBG』は、PC版の初期のころに『ドン勝するまで帰れません』という企画で配信をして。朝4時くらいまでやり続けて、やっと勝てました。ファンの方にはよく言われるんです、『今、eスポーツがはやってるし、みりんちゃんもやってみなよ!』って。でも、そんなに生半可な気持ちで選手になれるわけがない。一つのゲームで勝負する覚悟も必要ですし、プロ選手の方はきっと私の1億倍くらい練習していますから」

古川さん自身もゲームセンターで、ひたすら「ビートマニア」という音ゲーに打ち込んだ時期がありました。

それでもトッププロ選手のプレー映像を見ると、「私は絶対プロにはなれない」と感じるようです。

「音ゲーもそうです。技術の高さが露骨にわかる。ゲームのプロは技術職だと思います。あのレベルになるまで、どれだけ100円玉を積み重ねてきたのか……。本当に大尊敬です」

アメリカで体感した異世界な光景

2017年11月には、Blizzard Entertainmentが開催するゲームイベント「BlizzCon 2017」のためアメリカへ飛び、「Overwatch」の世界大会「Overwatch World Cup」を現地で観戦しました。

当時の日本にはなかったすさまじい熱量と黄色い歓声に衝撃を受けたそう。

彼女にとっては数年前の体験にもかかわらず、生き生きと話してくれました。

「初めて世界トップレベルの試合を生で拝見しました。まだ当時の日本は『eスポーツをやるぞ』と言い始めたころだったので、ここは異世界でしたね。すごいですよ。会場では『きゃー』と女の子たちの黄色い歓声が飛び交っていて、トッププレーヤーって本当に『スター』なんだと感じました」

でんぱ組.incのセンターの古川未鈴さん

アイドルとプロゲーマーに共通する「スター性」

古川さんをはじめ、彼女が所属するでんぱ組.incのメンバーは、全員がコアなオタクであることを明らかにして活動しています。

日本での「ゲーマー」という言葉に対するイメージは年々明るくなりつつありますが、今でもネガティブにとらえる人はいます。

そこで古川さんが感じるプロゲーマーのスター性について伺うと、「『かっこいい』『憧れる』といったような人間的な魅力を感じるのがスター性」とした上で、これはeスポーツに限った話ではないと続けます。

「これは表に立つ人間として、アイドルもプロゲーマーも一緒だと思います。アイドルなら歌やダンス、ゲームのプロなら勝負強さや上手さなども大事ですが、それだけではなくてもっとパーソナルな部分が重要です」とのこと。

「世界的にも有名な格闘ゲーマーの梅原大吾(ウメハラ)さんが前に、『観客を沸かせたい』と発言されていて。私、eスポーツは勝ち負けの世界だと思っていたんです。梅原さんが勝ち負けの先にもう一つ目標を持っていることに驚きでした。スターとして、身だしなみや清潔感、言葉遣い、他にもいろいろな要素があるのは大前提。その上で、梅原さんのようにオーディエンスと向き合って、彼ら彼女らに向けて発信したいものを持っている人もまた、憧れの対象になるのかなと思います」

アイドルもプロゲーマーも関係なく、その人間性をもって人々を熱狂させるのがスターだと話した古川さん。

「これからどんな若いスター選手が出てくるのか楽しみです」と今後のeスポーツシーンに期待を寄せていました。

古川未鈴(ふるかわ・みりん)

愛称はみりんちゃん。香川県出身で高松市の観光大使。全員が何らかの「オタク」である6人組ユニット「でんぱ組.inc」で不動のセンターを務める。キャッチフレーズは「歌って踊れるゲーマーアイドル」。「週刊ファミ通」にて「みりん小さじ2杯」連載中。2020年3月28、29日は「#DSPM STREAM FESTIVAL」に出演し、4月15日には最新アルバム「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」をリリース。