児童の夢が事業のヒントに

「この間、上の娘の2分の1成人式に行ったら、児童たちが将来の夢について、スポーツ選手と同じくらい、『プロゲーマーになりたい』って言っていたんですね。それを『頑張れ』と応援できる社会にしていきたいと思っています」

40歳で2児の父の影澤さんはそう話します。

影澤さんが驚いたのは、そう話す児童が「有名な選手の動画をいっぱい見て、分析して、勉強します」とプロゲーマーになるまでの過程までも考えていたこと。

NTTe-Sportsとして「僕らがやろうとしているサポート事業は、このプロセスをもっとちゃんと体系立ててやれば良い、というヒントにもなりました。子どもたちも方法論はなんとなく分かっているわけで、僕らは手を差し伸べていくだけ。あと、プロ野球選手を目指す人はプロになれなくても、社会人野球があるように何らかの救済的な道筋がある。それをプロゲーマーでも作っていくという役割も、僕らにはあると思っています」と語りました。

社内のeスポーツ部の部室でポーズを取る影澤潤一副社長

次世代を育てたい

中学生時代からゲームセンターに通い、格闘ゲームのプレーヤーとして活躍。

大学時代には自身の拠点とするゲームセンターで交流イベントを開いたり、当時広がり始めたインターネットを使ってゲーム攻略サイトを作ったり、全国津々浦々のゲーマーたちとのつながりを深め、「かげっち」の名前で業界では有名人でした。

筑波大学の大学院を出て、NTT東日本へ。

会社ではゲームの世界の活動は明かしていませんでしたが、識者として出ていたある座談会のネット配信を同僚が見つけ、会社の上層部にも活躍が知れ渡ることに。

そこからとんとん拍子で話が進み、NTTe-Sportsの副社長を務めることになりました。

新会社では、NTTグループの通信網を使って地方でのイベント開催のサポートや、プレーヤー同士をつなぐプラットフォーム事業を推進。

7月には東京・秋葉原に先端技術を活用した「ICT×eスポーツのショールーム」的な施設を立ち上げます。

プロチームや専門学校などと連携し、次世代の選手たちを育てる仕組みにも力を入れます。

「世界ではやっているゲームで対等に戦うには、高校生の若い人たちを支えないと。そこから伸びていく人を育てないと、競技という面で世界で戦えない。NTTグループの力を結集して取り組んでいくのが、課せられた使命だと思っています」と熱を込めます。

NTTe-Sportsの設立会見で、澁谷直樹社長(右から4人目)らと記念撮影に応じる影澤潤一副社長(同3人目)

葛藤を乗り越えて

新会社では、5年で売り上げ40億円を目指します。

これまで自身が運営したイベントでは、参加者が楽しんでさえくれれば、多少のコストをかぶることに抵抗はありませんでした。

それが仕事となると、収入を得ることを重視することになり、「葛藤があった」と漏らします。

ですが、「大きくシーンを成長させるには、経済的成長なしには実現できない。日本を、世界を、eスポーツで活性化するのに一番分かりやすいのは、経済を回していくこと、と腹をくくりました」と話します。

依存症などの「ゲームの功罪」の話題もありますが、様々な学術機関と提携することで、課題と対策について研究を深め、ゲームを文化として定着させるために尽力する考えです。

「NTTグループの持ち味は地域密着。我々のICTと通信の力で付加価値をつけるとともにコストを下げ、地域の特性、地域の方々との連携を大事にすることで、その地域にeスポーツを根づかるための意味、ストーリーを一緒になって作っていきたい」と意気込んでいます。