プロゲーマーは、1日どのくらいゲームをするのでしょうか。一日中? それとも「ゲームのプレー=仕事」ととらえると、一般的な社会人が働く時間と同じくらい?

決まりがあるわけではないので、明確な答えはありません。ただ、「一般人よりも圧倒的に多くの時間をゲームに費やしているだろう」と考える方が大半ではないでしょうか。
そんな予想を裏切ったプロがいます。「鉄拳」の破壊王選手。なんと、「1日1時間」しかゲームをしないと言います。

カッコいいキングをもっと目立たせたい

破壊王選手は、投げ技を起点とした攻めが特徴の「キング」しか使いません。「鉄拳」にのめり込んだ中学2年生の頃からの相棒で、キングを使わせたら日本一と言っても過言ではないでしょう。

そんな破壊王選手の今の課題は「もっと攻めるスタイルを身につける」こと。「『鉄拳』を教えてくれた師匠の影響から、待ちの姿勢、カウンターがクセになっています」

攻めのバリエーションを増やすため、破壊王選手は練習時間のほとんどをオンライン対戦にあてています。「人と戦うことで得られる経験は重要。実戦を通して攻め手を体にたたき込まないと、大会で理想の動きはできない」という師匠の教えを、今でも守っているのです。

今まで積み上げてきたプレースタイルを変えようとしている理由を尋ねると、「キングは投げ技が派手なキャラなので、攻めるスタイルの方がカッコいいんですよ!」とうれしそうに語ってくれました。

「鉄拳」プレーヤー同士で結婚した破壊王選手。結婚を記念したケーキにはキングが描かれていた(まさかり仁さん提供)
「鉄拳」プレーヤー同士で結婚した破壊王選手。結婚を記念したケーキにはキングが描かれていた(まさかり仁さん提供)

自分の時間はすべて「鉄拳」に捧げる

破壊王選手が「鉄拳」の練習時間は、1日におよそ1時間。プロゲーマーとしては非常に短いですが「自分の時間はすべて『鉄拳』に捧げています」と破壊王選手は言います。

「カスタマーエンジニア(以下、CE)としてフルタイムで働いていますし、家庭もあるので、1日を丸々ゲームにあてられないんです」

破壊王選手がゲームに触れられるのは、夜に子どもを寝かしつけてから自分が寝るまでの間だけ。出勤時刻も一般的な社会人と同じなので、夜ふかしもできません。土日も妻子との時間を大切にしたい。だから、「鉄拳」は平日でも土日でも、プレーは1日1時間。

「鉄拳」にかけられる時間は少ないので、布団に入ってから眠りにつくまでは「鉄拳」の動画を見て研究しているらしいですが……。「習慣化しすぎて、動画を見ながらだとすぐに寝付けるようになっちゃいました(笑)。入眠の助けになっている、と思うようにしています」

笑顔を見せる破壊王選手(撮影・志田彩香)
笑顔を見せる破壊王選手(撮影・志田彩香)

兼業であることをプラスに

破壊王選手のプロゲーマーとしての“仕事”は、「鉄拳」の練習ではありません。自身が所属するTeam HYDEでの業務は、イベントや大会に出ること。出演料や賞金がプロゲーマーとしての稼ぎとなります。「家計の助けになるくらいはもらえているので、自分が得意なゲームで稼げるのはとてもありがたいです」と破壊王選手はコメントしていました。

ただ、Team HYDEとの契約はスムーズには行かなかったと言います。勤めている会社が副業を禁止していたのです。根気強く上司と交渉し続けた末、ようやくTeam HYDEと契約できたそうです。

CEの仕事があるので海外の大会などにはほとんど出場できませんが、破壊王選手は兼業プロゲーマーであることを前向きに捉えています。

「性格的に人前だとすぐ緊張してしまうのでオフライン大会に苦手意識はあったと思います。しかし、お客さまと話す機会が多いCEを経験するうちに度胸がつきました。といっても、まだ大会は少し緊張しちゃうんですけど(苦笑)」