GTの歴史、プレーヤー数に敬意

――あなたはFIAでブランド・ライセンス・リテール部門のトップを務めていますが、GTの世界選手権シリーズに帯同している理由は何なのでしょう?

私の役割はFIAを代表して、GTと、その生みの親である山内一典さんをサポートすることであり、レースで選手たちにペナルティーを出す際、競技長としてFIAの見地からアドバイスをしています。

GTは20年間の歴史があり、世界で8020万本(2018年5月現在)売れ、多くのプレーヤーたちがいるタイトルであり、大変敬意を抱いています。

我々車業界として裾野を広げることが大切ですが、GTの幅広いファン層に訴えかけることができ、その中でヒーローが生まれるお手伝いができています。

そしてそのヒーローたちが、さらに新たな影響を広げてくれることを望んでいます。

シドニー大会前の記者会見に登場したフィラストレ氏(右端)
シドニー大会前の記者会見に登場したフィラストレ氏(右端)

 

世界で一番速いドライバーは誰か

――車業界として将来的な視野で、GTに期待するものは何でしょう?

FIAとしては、レースには目的がないといけないし、レースは社会や公共に影響を与えなくてはいけないと考えます。

まず、FIAは「安全性」に力を入れています。なるべく事故のないレースをすることが大事です。

と同時に、「革新性」も重要です。電気自動車だったりハイブリッドだったり、技術を積極的に導入し、車業界の先駆け的存在になることを目指しています。

そして、「いろんな方々に幅広く参加してもらえること」が三つ目の柱となります。女性であったり、幅広い年齢層であったり、より多くの方々にサッカーや野球のようにモータースポーツに参加していただくようにしないといけない。

この先20年を考えてみても、安全であって革新性があって、誰もが参加しやすい、参加障壁が低いスポーツであることを目指しています。

シドニー大会には地元豪州勢を含む18カ国・地域から選手が集まった
シドニー大会には地元豪州勢を含む18カ国・地域から選手が集まった

それとともにGTの世界選手権においては、毎年新たな参加国が増えることを望んでいます。

それによって多くの人々が世界選手権に参加し、より幅広いイベントになるからです。

良い例としては、オリンピックがあります。

多くの国が参加し、勝つことではなく参加することに意義がある。そういう意味において、デジタルモータースポーツの分野は可能性があると思っています。

F1のトップ選手だったフェルナンド・アロンソ氏に「世界で一番速いドライバーは誰ですか」とジャーナリストが聞いた際、「僕ではなくて、ブラジルの貧しい地域にいる子どもたちかもしれない。彼らはモータースポーツにアクセスできていないから分からないが、もしかしたら僕より速いかもしれない」と答えた、という話があります。

そういった意味で、ソニーのプレイステーション4が1億台以上も売れたことで、GTを通じてモータースポーツにアクセスできるようになり、新しい金の卵たちを探すきっかけになったのでは、と思っています。このことは本当に大切なことだと思っています。