「ぷよぷよ」のトップを走るdelta 憧れた大連鎖から生まれた強さ

180センチの長身で「よく聞かれますけど、スポーツ歴はないですよ」と冗談めかして笑う好青年。彼こそが、2018年に本格始動した「ぷよぷよ」のプロシーンにおいて初年度の年間王者に輝いたdelta選手です。その強さのルーツに迫りました。
180センチの長身で「よく聞かれますけど、スポーツ歴はないですよ」と冗談めかして笑う好青年。彼こそが、2018年に本格始動した「ぷよぷよ」のプロシーンにおいて初年度の年間王者に輝いたdelta選手です。その強さのルーツに迫りました。
東京生まれ、東京育ち。ゲーム歴についてうかがうと、「物心ついた頃にはもう家にゲーム機があってプレーしていましたから、具体的には分からないですね」と笑うほど、生粋のゲーマーとして育ったdelta選手。
幼いころに遊んだゲームタイトルの中にニンテンドー64でリリースされていた「ぷよぷよSUN」が入っていたことが「ぷよぷよ」のルーツと記憶しているそうです。
とは言えすぐに「ぷよぷよ」一本に集中したという訳ではなく、自身でも「割と波がある方で」と分析するように、様々なゲームに夢中になる時期があるのだとか。
特に一時期熱中したのは音楽に合わせてプレーするリズムゲームで、その熱の入りようは「『ぷよぷよ』よりもやってたんじゃないですかね」と振り返るほどなので、相当なものだったようです。
今ではプロとして「ぷよぷよ」に多くの時間を費やしていますが、新しいタイトルが出れば触ってみるなど根っからのゲーム好きは大人になった現在も変わらないと話します。
そんなdelta選手が「ぷよぷよ」上達を志したキッカケは、高校生の頃。
上級者の対戦動画を見て対戦の魅力に引き込まれていったそうで、その憧れたプレーヤーの中には現在、ともにプロとして活動している選手も。
特に影響を受けた存在として名前が挙がったのはKamestry選手。
連鎖のアーティストとも称される技巧派のプレーには「やっぱり大連鎖って良いな」と思わされたそうで、名手に憧れて磨き上げた連鎖技術は、今なおdelta選手の魅力として残っています。
そして上達の要因としてもうひとつ「大きかった」と挙げたのは、ともに切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間の存在。
「同じくらいの腕前で勝ったり負けたりして成長出来たのが、本当に良かったと思います」
2月のぷよぷよカップ大阪大会で対戦し、敗れてしまったぴぽにあ選手はdelta選手と同じ95年生まれ。
自分を破った勢いそのままに優勝を果たした同級生に「悔しいですけど、刺激になりますね。次は負けないです」と振り返る表情は、どこか楽しそうでもありました。
2018年4月にJeSU公認のプロライセンス対象タイトルとなった「ぷよぷよ」。
その1年目の総決算として2019年4月に行われた「ぷよぷよランキングファイナルズ SEASON1」で優勝したdelta選手は、その後も常に大会上位に名を連ねており、現在の競技シーンにおいて「最強」と目される存在です。
この戦績については「自分の中で安定していた形を崩して、新しい形を取り入れてみたんです。
その成果が現れてきたかな」と、一定の手応えも口にしました。
それでも「最強」という言葉については「まだまだ勝ったり負けたりですし、細かい所で安定していない」と自身の課題を分析します。
以前は誰と対戦していても「大連鎖を作って勝つ」という自分の世界に入り込んでいた時期もあったそうですが「トップレベルの人たちを見ていて、このままじゃ勝てないなと思って」と、これまで積み上げてきたものを崩すリスクを背負ってでも挑戦したスタイル変更の理由を教えてくれました。
「もっともっと、それこそ誰にも負けないくらいに強くなりたいですね」そう語る飽くなき向上心と強者へのリスペクトこそ、delta選手の強さの秘密なのかも知れません。